これまで多くの起業のご相談を受けてきましたが、どうしてもうまくいかないケースがございます。中でも、以下のケースは結構ございますのでご注意ください。
「経験が無い(浅い)・自己資金が無い・事前の調査が甘い・人脈がない」
そもそも経験が無い(浅い)ことで起業するのはお勧めしません。また、自己資金が無いと、やりながら学ぶ・経験していく時間もございません。おそらく、金融機関も融資には後ろ向きかと思います。加えて、業界の調査も甘い・指導してくれる人もいないとなれば、結果は必然的だと想像します。
経験が無いのであれば、自己資金を貯めて、業界の調査をし、人脈は築いておくことをしなければなりません。それは可能なことでもあります。それでも、起業をあきらめずに、ご自身のやりたいこと、夢を叶えて頂きたいと思います。その時は是非サポートさせてください。
当事務所での法人設立にあたり、最も多い法人形態が『合同会社』になります。その理由としては、当事務所のお客様が、お一人で法人を立ち上げる・家族で経営するなど少人数での起業のケースが多いことに由来します。また、株式会社に比べて初期費用とランニングコストが抑えられるメリットもあり、合同会社を選定されます。下記に合同会社のメリットを挙げてますので、ご参照ください。
合同会社のメリット
- 設立時の費用が株式会社に比べて安く抑えられる
- ランニングコストが安い(役員の任期更新の手続きが不要)
- 経営の自由度が高い(会社の経営者と所有者が同じである)
- 意志決定が早くできる(株主総会不要)
合同会社のデメリット
- 社員1人が1票の議決権を持つため、意思決定がうまくいかない可能性がある。(株式会社は出資の大小による。)
- 株式会社に比べて、信用力が低く見れれることがある。
上記に加え、お客様が誰であるのかなどを検討し、ご自身に合った法人形態を選定していただければと思います。
開業時には、できるだけスピーディに売上を伸ばして経営を安定させることが必要になります。特に自己資金が少ない段階で起業したケースでは、人件費や地代家賃などの運転資金を借入金のみで対応しているため、運転資金が底をつくと事業の継続ができなくなってしまいます。また、運転資金は一般的に3カ月程度しか対応してくれないケースが多く、それまでには結果を出さなければなりません。
結論から申し上げますと、質を重視している余裕は無いことが実態です。とにかく、何度も人に会って名前と仕事を覚えてもらいながら、相手側のニーズを聞き取り都度対応していく。その作業の中で質も意図的に向上させていくことが大切に思います。
まだサービスや商品内容が完璧でないなどの理由で営業開始を遅らせているなど考えていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。時間が経ち手元資金が少なくなってくると、今度は再度借入をお願いする手続きが必要になってくるなど営業ではないところに時間と手間を使ってしまいますので、悪循環に陥ります。
開業時は、とにかく量が先で質は後から付いてくると考えることをお勧めします。
売上を上げるために必要な方法は5つあると言われています。
- 新規顧客の獲得
- 流出顧客の減少(顧客の囲い込み)
- 購買頻度を上げる(リピーターの獲得)
- 客単価を増やす(セット販売などで購買意欲を上げる)
- 商品単価を上げる
まずは、現状の把握からスタートして、調査しながら何ができるかを考えてみましょう。
例えば、「新規顧客の獲得」であれば、自社ホームページや広告媒体の見直しなどを行ってみる。
「リピーターの獲得」であれば、顧客の意見をヒアリングし、アフターサポートの内容を見直しする。
「客単価を増やす」のであれば、主力商品サービスに関連したサブ商品を新規に取扱い、セットで販売してみるなどの方法がございます。
気になるようでしたら、お試しください。
「創業するのか、しないのか。」創業するのであれば、「失敗したくない。」のでどうすれはいいかなどを起業家はすごくお悩みになります。実際、そのような相談は年に数回必ずございます。その際に起業するのであれば、以下のようなことをアドバイスさせていただいております。
特に「お金をかけない」や「小さく始める」などはよく言われるフレーズですが、そこには理由がございます。
「お金をかけない」ことは撤退しても被害が少なくて済むからです。起業は皆さまが思うよりもうまくいかないものと結論付けていいと思います。それ故に、被害の程度をコントロールできる状態にしておくことが大切になります。
創業は自身が考えた通りの結果にならないことの方が多いと思います。「小さく始める」ことで、実際の事業が現場でどうなっていくかを小リスクで体感することができます。まずは、小さくともいいので実際の事業を体験し、黒字を目指すことが求められます。
「やりながら修正する」は、時間がもったいないからです。準備が完全に整ってから行動するのでは遅いと思います。そもそも完全な準備というものはお客様が決めるものであり、机上で決まるものではございません。多くの人と会い、意見を聞きながら合わせていく方がよほど効果的です。また、スタートが遅いと資金が無くなってしまいますので、そのような余裕は無いと思います。
営業手法の中で、最も確実なのは紹介営業ではないでしょうか。紹介営業とは、友人や知人、または取引先から直接新規の取引先などを紹介していただき営業することです。
「紹介」ですので、相手先はこちら側をある程度信頼しているところからスタートできることが大きなメリットになります。こちら側は、そのアドバンテージを十分に活かすよう準備することが大切になります。相手先の情報が事前に分かっていますので、チャンスを逃さないよう戦略を練って面談にのぞみましょう。
そして、紹介をしていただけるよう日々努力しなければなりません。具体的には、「相手先に求められる商品サービスを持つ、専門知識や実務経験を持つ、人として魅力を持つ、いろいろな集まりなどに積極的に参加をし顔を売る。」など、誰かに紹介されやすい環境を自ら作ることが重要になります。
創業当初は、(業種にもよりますが)とにかく営業や集客で売上の数字を作っていくことが重要です。
その中で、想定よりも苦戦してしまうのが電話を利用したアポイントになります。当事業所にご相談にいらっしゃる起業家のお話を聞くと、数百件も電話をかけているものの、面談の機会すら取れないケースがございます。もちろん、商品サービスの内容に原因があることもございますが、電話口でのトーク術も大きな要素になっていると考えられます。
以下について心当たりがないか考えてみてください。
- 自社の商品サービスのみを案内するような自社メインの会話になっていないか。(相手のお悩みをヒヤリング(または予想し)し、その課題を解決できるようなお客様目線の内容にする。)
- 面談の日時を相手に合わせていないか。(相手の日程に合わせると連絡が来なくなるので、日程はこちらからいくつか候補日を案内し、その場で決めてもらう。)
- トークを円滑に進めるようなマニュアル集を作っているか、またロープレをしているか。(「あいさつをして名前を名乗る→要件を簡潔に伝える→面談の日程を複数提示しながら調整する→感謝を伝えて丁寧に電話を終える」などの流れをつくる。加えて、会話の内容などをある程度決めることで電話がスムーズに進むよう事前準備が必要。)
テレアポは成約率もかなり低いことから、精神的にきつい業務であるため誰もがやりたくないものです。しかしながら、避けては通れないのであれば効果的に実践するよりこざいません。また、やりがなら自社の課題や強みが見えてくることもございますので、いろいろ考えながら実践してみましょう。
開業時において、どこで事業を実施するかについては悩むものではないでしょうか。
当事務所にご相談にいらした起業者様の事例ですが、ある事業をするためにご自身で適正な事業所在地を調査をしたこころ、既に事業をしているお知り合いからA地域がいいとの情報があり、A地域での開業を考えた段階で当事務所にご相談に来られました。その際、多方面から情報を集めて地域を再度ご確認されたほうが良いのではとのアドバイスをさせていただきました。
その後、公的機関や金融機関、ご自身での現地調査を進めるうちにA地域は難しい場所であることが判明し、新たにB地域の方が良いとの結論に至りました。
この事例は、1カ所からの調査では足りないということが分かります。複数から調査をしたうえで事業の実施地域を選定する方が確実です。調査は地味ですし、アポイントとり、お願いする形で人に話を聞くことは苦手、面倒くさいと思う方もいらっしゃいますが、本当に大切なプロセスです。是非、実践してみてください。
起業家さんから実際に経営は何をすればいいのかとのご質問がございます。そんな時は、PDCAサイクルを回してみることも解決の1つになります。「PDCA」とは、業務を改善するためのフレームワークですが、これを実践することで、現在の事業がブラッシュアップされていくはずです。
①Plan(計画)
②Do(実行)
③Check(評価)
④Action(改善)
Plan
まずは、目標を立てることから始めます。そして、目標を達成するためには何をすべきかの具体的な計画を立てていきます。
Do
プランを基にして、実行します。
Check
プランで設定した目標が実際の行動によってどれくらい達成できたかを確認します。その際に結果に至るまでの理由や要因を詳細に分析することが重要です。
Action
チェックから導かれた課題についてその改善方法を考えていきます。そこから出された結果を元に再びプランを策定していきます。
日本政策金融公庫様が行った2022年度新規開業実態調査に開業後に苦労していることが記載されております。その1位から3位までは以下の通りです。
- 1位: 顧客・販路の開拓
- 2位: 資金繰り・資金調達
- 3位: 従業員の確保
当事務所には、起業時の相談よりも起業後の相談の方が多いです。内容としては、まさに、上記の1位と2位の結果と一致します。正確には、「売上が計画どうりにうまく行かず、資金繰りに困っている。」というものです。事業計画策定時は、比較的低めの売上計画でスタートしたはずなのに、実際開業してみると想定よりもさらに厳しかったとの声が多いと思います。
今一度、開業後の売上を見直しながら慎重に起業をご検討ください。