【行政書士が解説】日本政策金融公庫の創業計画書とは?書き方と審査のポイント

起業時に多くの方が利用するのが、**日本政策金融公庫(にっぽんせいさくきんゆうこうこ)**の「創業融資制度」です。
特に、これから開業する方や、まだ売上のない個人事業主にとって、
最初の資金調達手段として非常に心強い存在です。

しかし、融資を受けるためには必ず提出する必要がある書類があります。
それが、**「創業計画書」**です。

この記事では、創業支援を専門とする行政書士が、
創業計画書の重要性・書き方・審査で見られるポイントをわかりやすく解説します。


1. 創業計画書とは?

「創業計画書」とは、日本政策金融公庫が融資審査を行う際に、
事業の将来性や返済能力を判断するための基本資料です。

つまり、あなたの頭の中にある「事業の構想」を数字と文章で伝えるためのビジネスの設計図

公庫では、創業計画書の内容をもとに、

  • 事業の実現性

  • 資金の使い道

  • 収益見込み

  • 経営者の経験・熱意
    などを総合的に判断して融資を決定します。


2. 日本政策金融公庫の創業計画書の構成

公庫が提供している公式フォーマットには、以下の項目が含まれています。

主な項目 内容
1. 創業の動機 なぜこの事業を始めようと思ったのか(きっかけや想い)
2. 事業の内容 どんな商品・サービスを、誰に、どのように提供するか
3. 取引先・取引条件 仕入先・販売先・販売方法など
4. 従業員 創業時の従業員数や役割分担
5. 必要な資金と調達方法 開業にかかる費用と資金の内訳(自己資金・借入金など)
6. 売上・利益の見通し 月ごとの売上・経費・利益の予測
7. 自己PR・経験 経営者としての経験・資格・強み・熱意

このように、創業計画書は「何を・どうやって・なぜやるのか」を一貫して説明するための書類です。


3. 創業計画書を書くときのポイント

①「創業の動機」は熱意+根拠で書く

「昔から夢だった」「地域に貢献したい」といった想いも大切ですが、
それだけでは説得力に欠けます。

たとえば、

  • 前職での経験を活かせる事業内容である

  • 市場のニーズを分析したうえでの開業である
    など、実現可能性のある理由を具体的に書きましょう。


②「事業内容」は“誰に・何を・どうやって”を明確に

漠然と「飲食店を開く」ではなく、
「ターゲットは30代女性、ランチ需要を中心に〇〇を提供する」など、
顧客層と販売戦略を具体的に示すことが大切です。


③「売上・利益計画」は根拠を持たせる

公庫が最も注目するのがここです。
売上見込みは「1日何人の来店」「単価いくら」「営業日数」など、
数字に基づいた根拠を示すことで信頼性が高まります。


④ 「自己資金の割合」を重視

公庫の融資では、自己資金が全体の30%程度あると理想的です。
自己資金が少ない場合は、どのように資金を貯めてきたか(通帳履歴など)も確認されます。


⑤ 「経験と資格」が信用を高める

過去の職務経験、業界歴、資格(調理師、宅建士、行政書士など)がある場合は積極的に記載しましょう。
「経験がある=事業の成功確率が高い」と評価されます。


4. 審査で見られる主なポイント

日本政策金融公庫が創業計画書で重視するのは次の4点です。

  1. 実現性 … 無理のない売上・経費計画になっているか

  2. 資金計画 … 借入金と自己資金のバランスが取れているか

  3. 経営者の経験 … 関連業界での実績や知識があるか

  4. 返済能力 … 利益見込みから返済が可能かどうか

これらのバランスが取れていれば、融資の可能性は高まります。


5. よくある失敗例

  • 感情的な動機ばかりで、数字の根拠がない

  • 売上・経費の計算が現実離れしている

  • 資金の使い道が曖昧(内訳が不明確)

  • 自己資金の証明(通帳など)が用意できていない

  • 計画書の整合性が取れていない(収支が合わない)

創業計画書は、**「熱意×根拠×数字」**の3つが揃って初めて説得力を持ちます。


6. 行政書士ができるサポート

行政書士は、創業計画書や融資申請書の作成をサポートする専門家です。

  • 創業計画書の作成サポート

  • 事業計画のブラッシュアップ

  • 融資面談の準備支援

  • 補助金との併用相談

公庫融資の審査では、書類の完成度が大きく結果を左右します。
一人で悩むより、専門家と一緒に準備を進めることで、採択率を高めることができます。


7. まとめ:創業計画書は「未来を描く」ための設計図

創業計画書は、単なる融資用の書類ではありません。
自分の頭の中のビジネスアイデアを整理し、
「この事業で本当にやっていけるのか」を確認するための重要なツールです。

日本政策金融公庫の融資を活用するためにも、
・数字に根拠を持たせる
・現実的な計画を立てる
・専門家のチェックを受ける

この3つを意識して作成してみてください。


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